癒しの島、沖縄の真実

本が好き!」からの献本の「癒しの島、沖縄の真実」読み終わりました。


癒しの島、沖縄の真実

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書評/ルポルタージュ



僕が沖縄と聞いて思い浮かべることはどんなことだろうか。

・リゾート地
・観光地
・のんびりとした人たち
三線
・戦争

実際に行ったことも1度しかない。
そんな僕に、沖縄の深さを教えてくれたのがこの本だ。

空港についた時の何とも言えない空気、雰囲気は本当に
日本とは思えなかったのを思い出す。

そんな沖縄がかつて、日本本土を守るための前線として
悲惨な状況になっていた、ということも、知識として、
薄い知識として、知っていた。

テレビや雑誌、ネットなどで、よく見かける沖縄の今と過去。

この本を読んで思ったが、僕の知識は本当に上辺のものなんだ。

金沢出身の著者が沖縄返還前に沖縄の新聞社に就職し現在に至るまでを、
丁寧に過去と現在と未来について向き合っている姿が目に浮かぶ良書だと思う。

この本を読んで、沖縄について、少し理解を深めることができたような気がする。

実際にその現場にいた人しか知り得ることができないことを
丁寧に丁寧に書いてくれている。

そんな著者だからこその思いだと思うのだが、1点だけ、それはちょっと、、
という箇所があった。

それは、現状の沖縄と未来の沖縄に対して、基地問題と絡み、
公共事業依存型になってしまった状態を憂いている箇所だ。

「沖縄よ自立を」

ということが何度か出てくる。

たぶん思うのだが、この本にも出てくるように沖縄は
自立に向けて立ち向かっていたと思うし、今もある「独立論」にあるように
それは現在も継続してある動きだと思う。

ただ、それをやるには、相手が「日本国」であり、その後ろには
アメリカ合衆国」がいるんだ。

そこを、ある意味倒していかないといけない。

日本の一地方自治体が立ち向かうにはあまりにも巨大すぎる相手のように思う。

「自立を」という言葉はこの本を読んでいると非常によく分かるし
そうなんだと思うんだが、しかし現実それをやること自体は、
やる人たちにとってはあまりにも酷のように感じる。

それがゆえ、公共事業依存型になってしまう現状はいたしかたないように感じる。

いやこれは当然これだけ沖縄を理解し、向かい合っている著者も
十分分かっていての「自立を」の言葉だとは思う。

ただ、僕は思う。

戦争、返還、基地問題という、非常に大きな問題を抱えている沖縄。

これだけの問題を抱えている地方自治体が、それでも、
あれだけ独自の文化を作り、独自の雰囲気を醸成し、
多くの人に魅了される地域を作り出している、という事実は
本当にすごいことだと思う。

日本のいろいろな地方自治体を訪れてみると、ほとんどのところが
同じような雰囲気となってしまっている。

大きな国道に一部に集約されたどこも同じようなエセ都会的な街を作り、
その周りに農村部が広がる。

ほとんどの地方はどこも同じような顔しかなくなってきている。

その中、あれだけの問題をかかえているにも関わらず、
あんなに素晴らしい空間を作り出している沖縄という土地や人は
本当にすごいところだと思う。

だから「自立を」という言葉はもしかしたらそんなに必要ないのでは
ないかと思う。

大事なのは、著者があとがきで書いている
「ナンクルナイサ(なんとかなるさ)」
という沖縄人の元になっている精神を失わないようにしていれば
よいのではないかと思う。

なんでもかんでも、キチキチっとしすぎな本土の人は、
たぶんあれだけの問題や重圧には耐えられないだろう。

沖縄人の等身大でナンクルナイサの精神。

批判されることもあるかもしれないけど、そういう、
ゆるさや風土は絶対にあったほうがよいものだと思うし、
たぶんそれがなくならないようにしていけば、本当に
そのうち何とかなっているんじゃないかと思う。

なんでもかんでも整理され、管理されていきつつあるなか
全部を把握しないと気がすまなかったり、強くなきゃだめだったり、
全てが正しくないとだめだったり。

そんなこたぁーないと思う。

等身大、ゆるさ、柔軟さ、弱さ、小ささなどはこれからを考える上で
本当に大事な要素だとこの本を読んで実感した。

そういえば、先日書いた「hon-nin」という本なんかも、そういう意味では
等身大でナンクルナイサの精神が満載だ。

hon・nin vol.00
hon・nin vol.01
hon・nin vol.02


何人かの方が書評を書かれています。
こちらの方達の書評なども是非ご覧ください。この本は日本人なら一度見ておいて損はないと思います。

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